突然交通事故に遭い、加害者や加害者加入の保険会社
と交渉や裁判をするのはとても大変です。
保険会社からの賠償額の提案が適正かどうか
不安に思うことも多いはずです。
弁護士費用については、ご自身やご家族加入の
自動車保険にある「弁護士費用特約」
でカバーされるかもしれません。
是非、一度、弁護士に法律相談することをお勧めします。
~警察への届出~
「事故に遭ったが、警察にはいわないでほしい
といわれた」
警察への届出をしなければ、交通事故証明書を
取得できません、また、実況見分もされません。
保険金請求の手続きも面倒になります。
交通事故に遭った場合は、警察に届け出たほうが
よいです。人身事故の場合は、人身事故として警察に
届け出て事情を説明したほうがよいです。
~通院~
「事故の相手から連絡がないので、通院していません」
通院をしないと、後々、痛みがなかったなどと評価され
てしまうおそれがあります。痛みがあるのであれば、
早期に定期的継続的に通院して、痛み・症状を医師
に伝えるほうがよいです。
~賠償額について~
「保険会社からの賠償提示額が適正だろうか」
例えば、人的損害賠償としては、
治療関係費、入院雑費、交通費、付添看護費、将来の介護費、
装具・器具購入費、家屋改造費、葬儀関係費
休業損害、後遺障害・死亡による逸失利益、入通院慰謝料、
後遺障害・死亡による慰謝料
等を請求することになります。
裁判では、それぞれの損害について、
基準となる額が定型化されています。
例えば、後遺障害慰謝料の裁判での目安は、減額がない場合
第14級110万円 第13級180万円 第12級290万円
第11級420万円 第10級550万円 第9級690万円
第8級830万円 第7級1000万円 第6級1180万円
第5級1400万円 第4級1670万円 第3級1990万円
第2級2370万円 第1級2800万円
等と考えられています。
例えば、死亡慰謝料の裁判での目安は、減額がない場合
一家の支柱 2800万円
母親、配偶者 2500万円
独身の男女、子ども等 2000万円~2500万円
と考えられています。
~整骨院の治療費について~
「医師から指示なく、整骨院へ通院していたが
治療費として、裁判で認められるか」
医師の指示がない場合の整骨院への通院費用は
損害として認めないのが、裁判所の基本的立場です。
ただ、現実には、そのような整骨院への通院に対し、
保険会社は支払をすることが多いため、裁判では
争点となりやすいです。
医師の指示がない場合、施術の必要性・有効性、
施術期間、施術内容、施術の相当性などの具体的
主張立証をして、裁判官がこれを認めるか否かの
判断をします。
~通院と慰謝料~
「通院が長期にわたり、不規則で、月に2回程度だが、
慰謝料の計算方法は?」
通常は、症状固定(治療終了)の時期までの期間
について通院についての慰謝料が認められます。
しかし、長期にわたる場合は、症状、治療内容、
通院頻度をふまえ実通院日数の3~3.5倍程度の日数が
通院期間の目安となることもあります。
なお、症状固定の時期について、交渉では、
保険会社と争いがない場合でも、裁判では、
症状固定の時期が争われることもあります。
~休業損害について~
「交通事故に遭い、怪我を負って、仕事を
有休で休んだ」
休業損害とは、休業したことによる現実の収入減
をいいます。
勤務先などに休業損害証明書を書いてもらいます。
有休をとった場合でも、その有休部分については
収入減として扱われます。
なお、休業の必要性の観点から、
治療が長期にわたる事例等において、治療に伴い、
身体機能が回復すると考え、一定期間ごとに損害額を
減らしていく計算方法が用いられることがあります。
~会社役員の休業損害~
「役員報酬が減額された場合、休業損害として
認められるか?」
減額された役員報酬の全部又は一部が「労務の対価」
であることや交通事故との因果関係があれば、認められます。
具体的には、会社の規模、利益の状況、役員の地位、
役員報酬の額、他の役員の職務内容と報酬、
事故後の報酬の推移などから判断されます。
~会社役員の負傷と会社の利益の減少~
「会社役員が交通事故に遭い、怪我を負って、
会社の利益が減少した」
会社の代表者等が交通事故により受傷した場合に,
会社が俗にいう個人会杜で,その実権が個人に集中して、
経済的に会杜と代表者等とが一体をなす関係にあるときは,
会社は,代表者等の受傷により会社の被った損害の賠償を
加害者に請求することができる,とされています。
~後遺障害について~
治療を続ても、その効果が期待できず、
身体に障害が残った場合、後遺障害の認定をします。
一般に、後遺障害により、被害者の労働能力が
どの程度低下したのか、1級から14級の等級により
判断されます。
~後遺障害等級の「事前認定」と「被害者請求」~
「後遺障害等級の認定をうけるには?」
現在の保険実務では、被害者が自賠責保険会社
に対する請求を行うことなく、相手方の対人賠償保険
から自賠責部分を含めた損害賠償金を一括して受領
できるようになっています。
その場合、相手方の対人賠償保険のほうで、資料の
収集、申請などをして、後遺障害等級の認定をうける
手続きを「事前認定」といいます。被害者のほうでは、
後遺障害診断書等を保険会社に提出するだけです。
手続きの利便性から「事前認定」により後遺障害等級
の認定を受けるケースが多いです。
なお、保険会社に手続きを依頼することに抵抗を
感じるなどの場合、被害者もしくは代理人が自ら、
自賠責保険会社に対して、「被害者請求」をして、
後遺障害等級の認定を受けることになります。
この場合、後遺障害診断書の他、等級認定に必要な一切の
資料を自ら収集し、提出しなければなりません。
損害保険料率算出機構自賠責損害調査事務所が調査します。
「被害者請求」による場合、自賠責部分の賠償金を、
示談を待たずに受領することができます。
~異議申立て~
任意保険会社に異議があることを通知して、
再認定依頼を行うよう求める方法と
被害者請求により、自賠責保険に対し、
異議申立てをする方法があります。
主治医の協力により、主張を裏付ける
新たな資料(診断書、意見書、画像資料等)
をできる限り添付します。
再度の異議申立ても可能です。
また、訴訟提起して裁判で争うことも可能です、
~後遺障害等級認定と訴訟~
自賠責保険の後遺障害等級認定は、
裁判所を拘束しません。
被害者にとって有利にも不利にもなります。
なお、後遺障害等級に認定された場合、訴訟では、
特段の事情のない限り、後遺障害等級に見合った障害
があるとの一応の立証がなされたと考えられています。
~むち打ち症~
「むち打ち症の場合の労働能力喪失期間は?」
むち打ち症が後遺症として認められる場合
12級13号「局部に頑固な神経症状を残すもの」
14級9号「局部に神経症状を残すもの」
のいずれかになります。
神経系統の障害が、他覚的に(客観的に)証明される
場合が12級、医学的に説明可能な場合が14級、
となるとされています。
実務では、むち打ち症の場合、労働能力喪失期間を
12級であれば10年、14級であれば5年
とすることが多いです。
事故状況、車両損傷状況
受傷態様、事故直後の傷害の程度
初診時の診断及び検査内容
画像所見
神経学的所見
治療経過
残存症状
等の要素が検討されています。
~過失割合について~
「過失割合に納得がいかない」
交通事故証明書、刑事記録、証言などにより、
事故状況から判断されます。
事故の状況によって、基本的な過失割合について、
基準となる割合が定型化されています
(別冊判例タイムズ38号という雑誌に記載されている
基準が、裁判で尊重されています)
これに、具体的状況を加味して判断されます。
~交通事故と医療事故~
「交通事故により負傷して、病院に運ばれたが
病院での医療過誤により、死亡した」
この場合、加害者及び病院の共同不法行為となり、
交通事故加害者及び病院の連帯責任となると考えられます。
また、過失相殺については、相対的過失割合
により、判断されます。
すなわち、交通事故加害者と被害者間の過失割合、
病院と被害者間の過失割合により、それぞれ
判断されます。
被害者側に過失がある場合、加害者の賠償額と
病院の賠償額が重なる部分において連帯責任となります。
~政府保障事業~
「交通事故に遭い、怪我を負ったが、
相手が無保険であった」
自賠責保険の対象とならないひき逃げ事故や
相手が自賠責に入っていない場合、被害者に対して、
健康保険や労災保険でもカバーされない部分について、
原則、政府が人身損害をてん補します。
これを政府保証事業といいます。
限度額は、傷害の場合で120万円、後遺障害の場合で
等級に応じて75万円から4000万円、死亡の場合3000万円
とされています。
各保険会社または共済に手続きを依頼します。
なお、加害者との間で示談が成立してお金が
支払われた場合は、対象となりません。
また100%ご自身が悪い場合も、対象外です。
~従業員が交通事故を起こした場合~
従業員が社用車で外回り中に交通事故を起こした場合
会社に使用者責任が成立します。
従業員がマイカーで通勤中に事故を起こした場合、
会社がマイカー利用を認めているような事情があるとき、
会社に使用者責任が認められる場合があります。
なお、従業員が運転する自動車に十分な任意保険が
付されていれば、被害者が会社の使用者責任まで
追及しない場合が多いといえます。
~中学生、高校生等運転の自転車との交通事故~
「高校1年生運転の自転車が、無謀な運転をして、
衝突してきて、怪我を負わされた」
中高生運転の自転車に衝突され、負傷したり、
破損した場合、通常、中高生は損害賠償義務を負います。
事故の状況により、過失割合が判断されます。
ただ、中高生は資力がないことが多いので、通常、
その親権者に対しても親の監督義務違反を問うことで、
損害賠償を請求することが多いです。
なお、未成年者が小学生以下の年齢の場合、通常、子は
責任を負わない(責任無能力)とされます。
この場合、親が責任を免れるのは、限定的なケースに
限られます。
なお、自転車事故により後遺症が残った場合、
自動車事故と違い、後遺障害の審査・等級認定を行う
審査機関はありません。被害者側で後遺症の内容及び
程度を医学的根拠をもって立証する必要があります。
※費用の詳細は弁護士費用ページをご参照ください。